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同僚が某学会のジャーナルにフルペーパーが採録になったと聞いた.しかし,その掲載料が40万円ほどかかるとか.

それを聞いて耳を疑った.どこかハゲタカジャーナルにでも投稿したんじゃないの???

と思ったけど,聞いたところではちゃんとした日本の某学会.高額になった理由は,20ページくらい書いたのが原因らしい.

1ページ2万円で見積もると,20ページで40万円というのは確かにそれくらいにはなるだろう.だけど,1ページ2万円もかかるジャーナルに20ページも書こうとする感覚もよく分からんけど(苦笑).たとえ研究費が潤沢にあったとしても金額が高すぎる.私だったら6ページくらいでコンパクトに纏めるだろうねぇ(それでも10万円を超えるので決して安くはない)

そういえば,つい先日ちょっと気になるニュースがあった.

 「最大で2億円 科学論文公開で研究者が料金支払うケース増 京大

論文執筆者が投稿料を負担するケースが増えており,京大では最大で2億円になるという.その原因はオープンアクセスジャーナルへの掲載が増えているのが原因だとか.

へ?

研究者が論文投稿料を払うなんて別に普通じゃないの?
と工学系の私からすると思ってしまうんだけど,ひょっとして工学系だけ異常だったのだろうか?
 
私が関わっている学会としては,日本機械学会,電気学会,情報処理学会,電子情報通信学会,計測自動制御学会などがあるけど,どこも投稿料がかかる
  • 日本機械学会論文集:12ページ以内 ¥40,000(第1著者が正会員)
  • 電気学会論文誌:1ページ ¥11,000(著者に会員が含まれ6ページ以内の場合)
  • 情報処理学会論文誌ジャーナル:1ページ ¥13,000(8ページ以内の場合)
  • 電子情報通信学会論文誌:1ページ ¥10,890(8ページ以内の場合)
  • 計測自動制御学会論文集:6ページ ¥97,900(50部の別刷料金)
もちろん,どこもオープンアクセスではない.

なので,NHKのこの報道を見てとても驚いた.工学系以外の学会では投稿料が無料なのが普通なのだろうか?



私の友人で文系の大学教員がいるんだけど,彼が以前

「執筆者が掲載料を払うなんてありえない」

と言ってたことを覚えている.

また,それと類似することで以前から気になっていたことは,工学系のジャーナルのインパクトファクタが極端に低いことである.

そこから推察される理由の1つは,工学系のジャーナルに掲載されている論文が玉石混交になっているのではないかという点.つまり, つまらない論文が多すぎて読者の購読料だけではジャーナルを維持し続けることが困難であり,執筆者も投稿料を払う必要があるということだ.

つまらない論文が多いと引用される論文が少なくなり,そうなるとジャーナルのインパクトファクタも下がる.すべて合点が行く.

このことがいいことかどうか分からないが,少なくとも文系の研究者やNHKのような報道機関から「異常」と言われたのは,私としてはあまり気持ちの良いものではない.いや,工学系研究者だとみんな同じ思いを抱くだろう.


だけど,フィールズ賞を受賞したある数学者が講演で言ってたことを思い出した.

「我々の分野では,取るに足らない論文を量産する人を『あいつはエンジニアだ』と揶揄することがある」

もちろん,その時はジョークで言っていた.聴衆の多くは工学者にもかかわらず,みんなドっと笑ったので嫌味で言ったわけではないのは明らかだが,案外的を射てるのかもしれない.