企業との共同研究って言えば聞こえは良いけど,最近,知り合いの研究者を見てるとちょっと疑問に思えてきた.

研究者は誰でもそうだけど,研究資金を外部からかき集めないといけない.だけど,普通の3流研究者だと科研費や財団法人くらいしか入手ルートがない.これが辛い.せっかく当たっても,所詮単年度,長くて3〜5年.それが終わったらまた申請することになるが,次も当たる保証は全くない.

だけど,企業の中には共同研究という名目で研究費を寄付金の形で出してくれるところもある.公募ではないのであまり外部に知られることはないけど,人付き合いの中でそういう話にまで発展するケースも稀にある.

だけど,私の知り合いの様子を見ていると,あまりお勧めはしませんね.なぜなら・・・

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言葉は悪いけど,企業はカネで研究者を釣って安い労働力として利用してるようにしか見えないからです.そりゃ,旧帝大の先生とか,その分野で著名な先生とか言うのなら本当の意味での「共同研究」って実現可能だと思うけど,普通の3流研究者ではぶっちゃけ無理.相手もそんなこと期待してない.

企業も商売だから,何も見返りのないところへカネを出すようなことはしない.それはよく理解できます.1人エンジニアを正規雇用するより研究者に対して年100万円くらい寄付する方がはるかに安上がり.ぶっちゃけ,それくらいの計算はしてるでしょう.だから,研究者が持つべき意識としては,カネにつられて研究の本質を見失わないようにしないといけないということ.

カネをもらった以上,それなりの見返りを相手に返さないといけないのは当然です.相手の望む商品開発や試験評価の一部を手伝うことになるけど,当然,自分の専門の研究に対するエフォートは下がる.

企業の商品開発や試験評価って,実用的だが新規性がないのが一般的.学術論文として採録されづらい.仮に新規性があっても企業の利益に直結するので普通は公開できない.もし奇跡的に公開が許されたとしても,共著者が10名とか20名いる中に埋もれちゃうから「企業の実績」としてみなされる.

研究者にとって最も重要な論文実績を残すまで,乗り越えなければならない壁が3つも4つもある.多少カネに余裕ができたところで,論文実績につながらないのであれば研究者にとって何の意味もない

だけど,競争的資金を当てようと努力するより企業からカネをもらった方が資金繰りがラクなのは確か.安易にカネだけ欲しいならそうすればいい

結局のところ,企業の仕事を手伝いながら片手間で自分の研究を進めるか,自分の研究だけ取り組みながら競争的資金の獲得に躍起になるか,どちらかしかないでしょう.